贈与と共生の経済倫理学――ポランニーで読み解く金子美登の実践と「お礼制」
本, 折戸えとな
によって 折戸えとな
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内容紹介 有機農業の里として知られる埼玉県小川町の有機農業者、金子美登氏が始めた「お礼制」。消費者に農作物を贈与し、消費者は各々の「こころざし」に基づいてお礼をするこの仕組みは金子や地域にどのような影響を及ぼし、どんな意義があるのかを詳細なライフストーリーをもとに分析。さらに「お礼制」に埋め込まれた関係性をカール・ポランニー、玉野井芳郎、イリイチ等の議論を参照しながら理論化。ポランニーの「経済を社会関係に埋め戻す」という命題に対する、現場からの1つの解を提示する。経済効率だけが追い求められる社会において、信頼とは、責任とは、自由とは、共に生きるとは何かを問う意欲作。 内山節氏のコメント 有機農業によって自然と和解し、価格をつけない流通を成立させることによって貨幣の呪縛から自由になる。それを実現させた一人の農民の営みを見ながら、本書は人間が自由に生きるための根源的な課題を提示している。 目次 はじめに 序章 「お礼制」と人間的解放 第1部 一人の決意が地域を変えた 第1章 挫折から復活へ―金子美登の物語 1 「有機の里」霜里農場の特色 2 霜里農場前史 3 金子美登の原点 4 生態系農業の確立を目指して 5 自給区構想と会費制 6 会費制のスタートと失敗 7 「お礼制」のはじまり――農夫の再スタート 第2章 消費者はなぜお礼制を求めたか―尾崎史苗の物語 第3章 開かれた「地域主義」―霜里農場を取り巻く人びと 1 地域とは何か 2 遊びと仕事と生きがい―酒蔵の旦那、中山雅義 3 関係性の見える仕組みづくり――豆腐屋の後継ぎ、渡邉一美 4 地域を変えた村の長老――集落の慣行農家、安藤郁夫 5 法人格という人格をもつ企業―― OKUTA社長、山本拓己 第2部 「お礼制」の可能性 第4章 生業からみる「お礼制」 1 農家生計の歴史的連続性からの視座と禁忌作物 2 市場《交換》/非市場《贈与》の関係性 第5章 「お礼制」が農民にもたらした二重の自由 1 自然との関係性における自由 2 人との関係性における自由――農産物の価格と値づけ 第6章 「お礼制」の仕組みと意義―生産[者]と消費[者]の関係 第7章 人間の動機と経済合理性―ヴァルネラビリティというつながりの起点 1 弱者の生存戦略としてのモラル・エコノミー 2 変容する人間の動機――生存から生きがいへ 3 合理的経済人を問い直す 4 ヴァルネラビリティ――不確実性を抱えて生きる 5 地域に根差すこと、ふたたび埋め込まれること 第3部 「お礼制」に埋め込まれた「もろとも」の関係性 第8章 ポランニーの「埋め込み命題」と「もろとも」 1 環境と経済の相互作用をめぐる経済学的アプローチ 2 宇沢弘文とポランニーの共通点 3 「もろとも」が意味するもの 4 経済を社会関係に埋め戻す――ポランニーの思想 第9章 責任・自由・信頼 1 非対称的関係性を乗り越えるための「もろとも」 2 技術と時間 3 「もろとも」の関係性における責任をめぐって 4 「覚悟して受け入れること」と自由 5 「埋め込み」から「もろとも」へ おわりに 内容(「BOOK」データベースより) 有機農業の里として知られる埼玉県小川町の有機農業者、金子美登氏が始めた「お礼制」。消費者に農作物を贈与し、消費者は各々の「こころざし」に基づいてお礼をするこの仕組みは金子や地域にどのような影響を及ぼし、どんな意義があるのか―。金子や地域の人々への聞き取りによる詳細なライフストーリーと歴史学、経済学、倫理学、民俗学等の知見をもとに分析。さらにこの仕組みに埋め込まれた関係性をカール・ポランニー、玉野井芳郎、イリイチ等の議論を参照しながら理論化。ポランニーの「経済を社会関係に埋め戻す」という命題に対する、現場からの1つの解を提示する。信頼とは、責任とは、自由とは、共に生きるとはどういうことかを問う意欲作。 商品の説明をすべて表示する
贈与と共生の経済倫理学――ポランニーで読み解く金子美登の実践と「お礼制」を読んだ後、読者のコメントの下に見つけるでしょう。 参考までにご検討ください。
有機農業者として高名な金子美登さんが行なっている「お礼制」による産消提携が、市場経済に暮らす私にはよく理解できませんでした。しかし、この本を読んで理解できたように思います。ますますお金重視の世の中になってきていますが、金子さんの例のように非市場経済的発想が、一段と求められているように感じます。
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